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 女子は、ドラムの椅子に座る。小柄なので、ほとんど見えなくなる。ドラムセットは、両太ももの間にスネアドラムがあるから、必然的に足を開く。小学生っぽいとはいえ、結構ミニスカートの足を開くと、スラリとした足がイヤでも目に入る。まあ、全然イヤではないが・・・。  と、男子の煩悩を振り払うように、ドラムが炸裂した。Mとオレは目を見張った。  オレらが知っているのは、ドンチャン、ドドチャン、みたいな8ビートのロックビートだ。そう、エアロスミスとかあんな感じの。だが、この女子はまるで4、5人が一斉に打楽器を合奏しているように叩くのだ。しかも、あのメトロノームそのままの正確なリズム・・・見てはいけないと思いつつ、その生足はドッドドッドと2度打ちを正確にキープしている。 「サンバだ・・・」と、M。  女子はにっこり笑うと、同じテンポでパターンを次々に変えた。 「サルサ?」と、M。あまりに複雑で何をやってるかわからない。キィ子がMの耳元で言う。 「ソンゴ・・・モザンビーク・・・」  オレらはぶっ飛んだ。もう太ももがどうのってのは完全にすっ飛んでいた。女子は叩くのを止めた。ジルジャンのシンバルがしばらくシャラ〜ンと鳴っていた。女子はそれを肘でチョンとミュートした。  ドラムは決まった・・・。
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