4

1/3
前へ
/10ページ
次へ

4

 その女子の名前は、長宗我部だったか小早川だったか龍造寺だったか、とにかく非常に呼びにくい名前だったので、『マリンちゃん』って呼んで欲しいと本人がリクエストした。マリンバを叩くからだろうが、可愛いすぎだろ?Mが「マリンちゃん」って呼んであげたら、多分気絶しただろうな。で、オレは気絶しないように『リンバちゃん』と呼ぶことにした。女子はぷうっとむくれたが、Mがドラムだから『ドラミにする?』って言ったら、『リンバちゃん』でいいことになった。  まあ、ブラバンの部室を使い続けるわけにもいかないから、マリンバリンバを残してキィ子とMとオレはいったん音楽室に戻った。オレはベースを弾くのは初めてだから、練習を兼ねてMとセッションしつつ、キィ子に聞かせる。 「音がちょっと薄いわね」と、キィ子。あのドラムに釣り合うには、オレのヘナチョコベースじゃあ、全然ダメだ。 「キーボードが()るね」と、M。確かに、そのとおり。  あれ?キィ子がじっとこっちを見ている・・・。  前述したが、キィ子は前回のラスト近くでキャロル・キングばりのピアノと歌を披露してオレらをノックアウトした。もしかして、メンバーに誘われるのを待ってる?だが、バンドに担任の先生を入れるなんて・・・ありえないだろ?  って思ってたら、Mが言った。 「ねえ、先生がキーボード弾いてくれませんか?」  おいおい!しかも、キィ子は待ってましたとばかり、即答で「イエス」だと。  いや、大人ならせめて三顧の礼でしょ。バンドとしては非常にやりにくいが、オレはキィ子をちょっと好きなので、うなずくしかなかった。リンバちゃんの生足とキィ子のお綺麗な顔・・・悪くないねぇ!
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加