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〜CAT BOY〜
俺には中学に上がったばかりの頃、密かに心を寄せている人がいた。
隣の県から引っ越ししてきて、同じクラスになったんだ。
色が白くて、目が大きくて…笑うと天使みたいに可愛くて…
そんな彼の姿を、うっとりしながらいつも目で追っていた。
その美しい容姿のせいで虐められる彼を、俺はいつも守った。
彼が来てから毎日が楽しくて充実していた。
梅雨に入り、連日のように大雨が続いていたある日…
「じゃ、またな?」
「うん。」
いつもの路地で彼と別れた。いつもと変わらぬ日常だったのに…
家に帰り暫くすると、ケータイが鳴った
ージェジュン?
「ヨボセヨ?」
「あ、ユノ君?」
「え?あ、はい…」
彼のお母さんだった…
お母さんの言葉に、俺は言葉を失った。
「…うそだろ?あいつが死んだ?さっきまで一緒だったじゃないか…悪い冗談だよな…?」
膝からその場に崩れ落ちた
あいつが事故で死んだと言う…
俺は、あいつの死を受け入れられなかった
…今だってそうだ。
”好き“だと告げることも出来ずに一方的に幕を閉じた恋…
それ以来、心にポッカリと穴が開いてしまったみたいだ…
いつものように”ユノ、待ったか?“なんてひょっこり現れる気がして…
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
あいつの死を受け入れられないまま10年が経った
中学生だった俺は、大学生になった。
「私たち、別れましょうか?」
それは、何度目かの別れのセリフ。
この容姿のお陰か?色んな女が俺に近づいてきた。自分では気がつかないうちに、経験豊富になってた。
歳を重て身体は大人になっていくのに、心はあの日のままで大人になりきれなかった…
ずっとずっと心の何処かでジェジュンを求めてた…
こんなつまらない俺に女たちは愛想を尽かせ、離れていった。
梅雨に入り、10年前のあの日のように雨が続いてたある日…
こんな日は、嫌でもジェジュンを思い出してしまう…
バイト帰り、傘を指しアパートまで歩いてたとき、微かに猫の声が聞こえた。
「ニャー…ニャー…」
いつもなら無視するのに、雨のせいで少しだけセンチメンタルになってた俺は、脚を止めた
「猫…?」
街路樹の植込に置かれた小さな段ボール箱、そっと中を覗いてみた
その中には小さな子猫が捨てられてた。
雨に濡れ、小刻みに震えてる
「ニャー…ニャー」
「お前、捨てられたのか?」
「ニャー…」
大きな瞳が震えてる
「家に来るか?」
「ニャー…ニャー」
「そうか。」
俺は、子猫を懐に入れ連れて帰った
…何となくあいつににてる気がして
俺は、子猫をジジと名付けた。
俺だけが呼んでいたあいつのあだ名…
家につき、子猫と一緒にお風呂に入った。雨で濡れ、汚れた身体を洗ってやった
「お、ジジ…ベッピンさんだな(笑)」
「ニャー」
身体をバスタオルで拭いてやると、一緒にベットに潜り込んだ。
「おやすみ、ジジ」
「ニャー」
バイトの疲れからか、直ぐに深い眠りに落ちていった。
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