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〜sweet bunny〜
僕には内緒のペットがいる。
裏山で遊んでたら、偶然見つけたんだ。
茶色い他の野ウサギとは違って、真っ白でふわふわしてるんだ
だから、僕はそのウサギをジェジュと名づけて可愛がった
雨の日も晴れの日も、僕はみんなに内緒でジェジュに会いに行った
僕が近づくと、ほかの子達は逃げるのに、ジェジュだけは僕にすり寄ってくる
抱き上げて頬ずりすると、長い耳をぴくぴくさせて喜んでるみたいだった
「ジェジュ、大好きだよ。本当は連れて帰りたいけど、連れて帰れないんだ。お父さんもお母さんもダメだって」
いつも、後ろ髪惹かれる思いで家に帰る。
本当はもっとジェジュと遊びたいのに・・
今日も学校から帰ると、玄関にランドセルを放り投げて、ジェジュに会いに行ったんだ
「ジェジュ?僕だよ?・・あれ?ジェジュ?」
その日は、いつもいるはずのジェジュの姿が何処にも見当たらなかった。
ほかの子達は木の陰に隠れてビクビク震えてるみたいだった
「どうしたの?・・なにかあったの?ジェジュは?」
僕はジェジュに何かあったのかと、胸がドキドキした
結局ジェジュの姿はどこにもなくて、しょんぼりとしたまま家に帰った
そして、来る日も来る日もジェジュには会えなかった
ジェジュ・・どこに行っちゃったんだろう?
僕は心配で心配で、夜も眠れなくて。
あの日、無理にでも家に連れて帰れば良かったと何度も後悔した
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数年後、僕は高校生になった
「ユノ!!早く起きなさい。」
「ん~・・何だよ。まだ眠いよ」
「今日から新学期でしょ?初日から遅刻するんの?」
「ん・・・分かったよ」
重い身体を起こし、学校へと急いだ
「ねえ、知ってる?」
「え?何が??」
「隣のクラスに転入生が来たらしいよ」
「へえ・・」
「それが、めっちゃ美人なんだって!」
「マジで?」
「見に行こうぜ?」
「おう」
美人の転校生を見に、友達とこっそりと職員室へと向かった
「うわ!!ほんと、マジで美人!!」
「え?どれ??」
僕は、その転校生を見た瞬間雷に打たれたみたいな衝撃を受けた
「-?!」
「残念。男か・・」
ズボンをはいている転校生を見て、友達はがっくりと肩を落とした
「男にしておくのはもったいないほどの美人だったな」
「・・・・」
「どーした?ユノ」
「ん?あ・・ああ。別に」
「何だよ。もしかして惚れちゃった?」
「んなわけねーだろ」
「だよな。お前、女には不自由してないもんな」
「・・・・・」
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