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高校生でありながら小学生と見紛うほどに幼く、日常生活に支障をきたすほど記憶力が悪い。これほどに危うい人類が今までにあっただろうか。
マイエンジェルである翔太を保護するという真彩の使命感は消えなかった。どんな手段を使ってでも、彼を魔の手から守り、奇跡的な幼さを持続させなければならない。そのためには、翔太の彼女となり、常に彼の行動を見張っている必要がある。
「ねぇ、翔太くん。明日の映画、楽しみだね」
「ん? 明日の映画?」
「もう……いくら忘れやすいからってそれは失礼だよ。昨日約束したでしょ。なんで日記に書いてないの?」
「それは……そんな約束をしてないからじゃないですか?」
真彩は舌打ちそうになるのをぐっとこらえる。
「約束したよ。恥ずかしいから書かなかったんでしょ」
「いや、別に恥ずかしいことじゃないですけど……すみません」
「じゃあ明日の一〇時、駅前で集合ね」
この手段を何度も使って、翔太をデートに誘い、他の女を寄せ付けないようにした。
一五歳の翔太が一八歳になるまでの間、真彩は激しい欲求を抑え続けた。
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