悲鳴

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悲鳴

短い悲鳴で目が覚めた。 そこは洋室で、一面白いシーツの大きなベッドに、頭上で両手首に手錠をかけて拘束されていた。 白いタンクトップとグレーの黒いボクサーパンツ姿の自分を見る。 壁側にキングサイズのベッドと、となりにソファ、その前に大型テレビとごく普通の部屋だった。 どれくらいたったのか時間の感覚がない。 とりあえず今は生かされている。これから何が起きるのか、あまり考えたくない。 目を閉じて絶望のため息をつくと、静かにドアが開いてアシンメトリーなデザインのグレーの光沢のあるパジャマ姿の遠山が入ってきた。 「ご機嫌いかが」 探るような目で自分を見ながら枕元に座る遠山を、怯えた目で見返す。 「バスルームで倒れて、3時間くらいたったか」 状況を把握していないナナにご丁寧に説明してくれた。 だがそんなことはどうでもいい。 遠山の細い指がナナの頬をすべる。 「綺麗な顔だ」 そこに爪をたてて傷をつけた。 「いっ…」 頬をつたって流れる血を、遠山が舐める。 ナナを拘束している手錠がガチャガチャと鳴る。手首にはめて何か重いものでおさえている感覚があった。 「男とするのは初めてか?」 「当たり前だろ!」 非常識な言葉にようやくナナが反撃の一言を吐く。 「でもさっきバスルームでほぐした時簡単に指は入ったぞ」 下衆な笑みを浮かべて遠山は信じられないことを言った。 「意識がなかったからかもしれないな」 遠山は羞恥で動けないナナの下着を乱暴に剥ぎ取り、指を2本強引に入れてきた。 「いっ、痛…!ああ!」 「こうでなくちゃ」 激痛で苦しげに眉間にしわを寄せるナナを見て、雄の本能が目覚めたのか遠山の表情が恐ろしい笑顔になった。 わざとだろう、乱暴に中をかきまわす。 すぐに赤い血が流れてきて部屋は鉄の臭いが充満した。 「やめろ!‥やめ‥って!!」 大きく開かれた足を閉じようと抵抗するが、間にいる遠山が邪魔で動けない。 「もっと叫べ」 うれしそうに呟きながら、タンクトップの上から乳首を甘噛してくる。 それは不思議と気持ちよかった。 遠山の黒い前髪が服をすべって、それもナナの快感を誘う。 「‥うっ、…ん」 自分の反応を否定するように、ナナは首をふった。 白いシーツに点々と赤い印が増えていく。 「もう…やだ…‥」 ナナのすすり泣きは遠山を興奮させるだけだった。 「これでも優しくしてるんだけど」 ふくらんだ胸の突起を口に含みながら話されて、歯の微妙な刺激にナナは体をくねらせる。 「気持ちいい?」 わざとなのか、意地悪な質問をしてくる。 「そんなわけな…、ああっ!」 ぐり、と穴を指でえぐられて短い悲鳴をあげた。 喉が痛くなるくらい大きな悲鳴をあげ続けて声がかすれてくる。 不意に遠山が指を抜いた。 終わったのかと期待したナナはすぐまた絶望に叩き落とされる。 遠山が手にしていたものは、見たこともない太いバイブだった。 着ていたものを脱ぎ捨てて、ナナのタンクトップを破り、ローションを塗ったそれを勢いよく突っ込んだ。 「‥あああっ!!や‥、痛っ…やめ…!て‥」 「足りないな」 電子音が聞こえて、バイブは中で不規則な動きを始める。 「もっと叫べナナ」 痛みで白いふとももがびくびくと跳ねる。 「もっと泣き叫べ!俺を悦ばせろ」 いつの間にか照明を落とした薄暗い部屋にナナの悲鳴が響く。 こんな日が続くなら早くあの土の中に埋められたい、そう思いながら自分の血の臭いに吐き気がした。
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