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よし、やろう。
そう奮い立った俺はスマホと睨めっこをしていた。
小さい頃から物語を書くのが好きだった。
空想にふけるとまでは行かなくても頭の中でストーリーを考えることが好きだった。
1本だけ拙い文で小説を書いてみたことはあったし、友達とやっていた演劇サークルでは舞台台本を少し書いてみたりもした。
ただ、書いてみただけで読んでもらうことはなくそのままどこか奥底にしまったままだ。
そんな俺が今スマホのメール画面と睨めっこしている。
スワイプしながら文字を打つ。
ゆっくり、言葉を慎重に選びながら。少しづつ。
別に誰かにメールを打っているわけではない。
今現在進行形で小説を書いているのだ。
昔はパソコンのWordで書いていた小説も簡単に起動し、文字が打ち込めるスマホへと変わっていった。
久々に書く小説。
何年ぶり⁇て、いうくらい久々だ。
どうして久々に小説を書こうと思ったのか。
それは年齢が関係している。
俺は今、29歳だ。
29歳。来年には三十路になってしまう。
20歳の時はよかった。まだ学校に行っていて友達と課題や実習をこなし、遊びやバイトに明け暮れた。
だか、就職してからは俺はストレスフルに働いた。
胃を痛めながら、憂鬱になりながらただただ働いた。
なんの趣味を持たず、友達とも会わず、仕事をして家には寝に帰るだけの日々。
過ぎていく時間。
ただ、流れていく時。
29歳になり周りの人が趣味にあけくれたり結婚をしたりしていくなか気づいたのだ。
俺には何もない。
と、いうことに。
それに気づいてしまってから途方に暮れてしまった。
ただ…虚しい。
そう思った。
そう思うとなんだか仕事にも身が入らなくなる訳で、ミスが多くなってきてしまった。
こんなのではダメだ。これでは仕事が無くなってしまう。
そんな時ふとスマホの小説アプリと言うのを見つけた。
いろいろな人が自分の言葉で文字を紡ぎ、小説にしている。
そのどの物語もとても素敵で感心してしまった。
すごいなと、ただ思った。
俺も昔は好きだったなぁ。
文章を考えるの難しいけど、いい文句をみつけるとそれだけでうれしかったものだ。
「いいな……久々に書いてみたいな。」
誰もいないへやの中ポツリとそう呟いた。
そんな中そのアプリで目に入ったのは100文字からから応募可能なコンテストだ。
たった100文字。されど100文字。
でも、これだったら書けるかもしれない。
あれだけ好きだった小説を書くこと。
それをまた始めてみようかな。
そうしたら何かがかわるかもしれない。
そうおもった俺は早速取り掛かる事にした。
とりあえず、そのコンテストに応募すること。
そして三十路を迎える来年までに長編を書くか目標にする事にした。
そして、スマホとにらめっこしている今に至るのだがなかなかお題に対して書くことが難しい。
どうしたものかと悩んでいるところだ。
でも、これを1つ完成させることが出来たなら自分に少し自信がもてるかもしれない。
それに、この悩むということ、文字を紡いでいく作業がワクワクしてなかなか楽しい。
ここ数年忘れていた感覚が蘇ってきた。
ここからは色々と、初めてなことだらけ。
ちゃんとした物語を書くということ、それを人に読んでもらえるということ。
どんな評価を貰うかわからないけどそれも楽しみだ。
「とりあえず……ゆっくり考えよう。」
そう言って俺はのびを一つしてコーヒーを飲んだ。
久々に小説、書きはじめました。
…つづけばいいなぁ……。
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