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天を創ろうか、地を創ろうか、人を創ろうか。
一体何から手をつけたらいいのやら、皆目見当もつかぬ。
私は生まれたての神なり。
広大な海の如き、電子網を泳いでいると、創造のための手法はピンからキリまであるという。
創造に絶対などないようであった。
まずは土台を固めるのが肝要か?
蟻の穴から堤も崩れるという。
私は、まず広大な大地を創造した。
土台が崩れれば、その上にあるものは全て台無しになってしまう。
そして大地に住まう人。すなわち、キャラクターであろう。
こういうのはどうだろう。
都会のボロいアパートに住む、無職の青年は、一念発起して小説家になろうと思い立つ。しがない三流大学の理学部を卒業したは良いが、何とか就職した会社で精神をやられ、止む無く退職する事になってしまったのだ。
一度病んだ精神は二度と回復する事はない。
何とか騙し騙し生きている、その青年が賭けたのは、世界を創る事であった。自縄自縛に陥り、世界の理から抜け出したいと強く思った彼は、自由に世界を創造できる仕事に憧れたのだ。
どうだろう。
え? ここからどうなるのかって?
えーっと彼は、Web小説を書き始め……いや、投稿を始めるためにストックを作るべく執筆活動を開始するのだ。
何と言っても設定では、彼は慎重な性格で破綻を嫌う性分をしているからな。
文章を書く機会なんて大学の論文くらいだったというのに、どんどんと書き貯めていく青年。
え? 名前? そうだな。ではこうしよう。
七つの海を揺蕩う波。
波 七海(なみ ななみ)と。
彼は書き貯めたファンタジー小説を毎日投稿していく。
そして、コンテストにも応募するんだ。
彼にも承認欲求があったからね。
それに、病気を抱えて生活していくには先立つものだって必要なのさ。
え? 彼は今後どうなるのかって?
急かすなぁ……
私はハッピーエンドが大好きなんだ。
まぁほろ苦い結末ってヤツも嫌いじゃあないんだけれど。
でも彼の事を考えると、幸せになって欲しいと思うんだよ。
私は今から、彼の物語を毎日毎日創造していく。
彼の物語は始まったばかりなんだ。
どうか急かさず見守ってやって欲しいものだね。
皆もじっくり読んでやっておくれよ。
『波七海の物語』
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