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冷やし中華はじめました、という張り紙があった。少し日に焼けている。そういえばネタにされてるのはよく見るけれど、本物を見たことがなかったかもしれないと思った。
それならちょっと入ってみようか。そういえば今年の夏は冷やし中華をまだ食べていない気がする。
「ご注文はお決まりですか~?」
店員さんがお冷を持って注文を聞きに来た。
「冷やし中華一つ」
「蜀キ繧?@荳ュ闖ッですね~、蜀キ繧?@荳ュ闖ッ一つ~」
「えっ?」
聞き取れない。流れ的に復唱しただけだろう。どうしてそれが聞き取れない言葉なのだろう。けれど俺の声は店員さんには聞こえなかったらしい。
そういえばこの店の名前は何だっただろうか。つい張り紙に誘われて入ってしまったが外に店を示すものはほかにあっただろうか。中は町の定食屋さんといった感じだが暖簾か看板があっただろうか。でも張り紙はあったし注文の復唱が聞き取れなかったとはいえ店員さんには伝わったようだし店であることは確かだろう。
そんなことをつらつら考えているうちに厨房から皿が出てくるのが見えた。
「蜀キ繧?@荳ュ闖ッです~、お待たせしました~」
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