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翌朝、起きるなり小さな籠に入れられた。チクっとするやつを刺されたり、苦いものを飲まされたりする所や、違う人間のいる場所へ連れていかれる時に入れられる籠だ。
最初は拒んだが、強引に押し込まれてしまった。そのまま、そこに入るといつの間にか遠い所へ移動できる、ごとごと揺れる鉄の固まりに放り込まれた。しばらくすると、鉄の塊の壁が開いて、苦いやつの匂いがぷんぷんしてきた。チクっとするやつを刺されるのだろうか。
不安になって、籠を掴む人間の顔を覗きこむと、何だかこわばった顔でこちらを見ている。その瞬間、背筋がぞわぞわとして、身体が警告を発しているのを感じた。
今すぐ逃げろ、さもないと……。訳も分からぬまま、俺は本能に従って暴れた。その拍子に、人間が籠を取り落とし、地面に叩きつけられた衝撃で扉が開いた。俺はくらくらするのを我慢して、がむしゃらにその場を逃げ出した。
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