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どれぐらいこすった時だろう。
ぶるるッと手の中のランプが震えた。
「えっ?」
ポンッと一つランプは跳ね、部屋の床の上に綺麗に着地した。
そして、その口からもくもくと煙が溢れ出した。
「うわわっ……」
「あーりがとうございまぁぁぁす!!」
そんな声と共に現れたのは、黄色い肌をした筋肉質なおっさんだった。つるつるの頭にプリンカップを逆さにしたような帽子をかぶっている。とんがった耳わしており、眉は無く、目は吊り上がっている。牙の見える大きな口の上には、ピンと横にはねた髭を生やしていた。
「ようやく……ようやく一人目のご主人様に会えました」
「……誰?」
「見ての通りランプの魔人です。最近始めたもんで、まだまだ至らぬ点も多いかとは思いますが、そこは一つ広い心でよろしくお願いしますご主人様」
「……始めた? おかしな話だ。普通は呪いなんかで縛られているんじゃないのか?」
「昔はそうでしたけどねー。最近はそう言うのもすっかり廃れちゃって。どっちかっていうと、奉仕活動の一環としてランプの魔人になられる方が多いようですよ?」
「ほ……奉仕活動?」
「まあ、人間の為に自分の魔力を無償で使うわけですから。こりゃもう立派な奉仕活動ですよ。奉仕活動の経験があると、色々と有利に働くんですよ。それに交渉能力が高いとも見て貰えますし、後はまあ能力使用の場数を踏んでいると思って貰えますね。ある程度習熟していると思われた方が、魔人としても仕事に就きやすいんですよね。まあ、これはご主人様関係の無い話ですけれど」
思った以上に生活感のある魔人だ。
まあ、どんなであれ魔人だ。つまり、このランプは本物だったのだ。
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