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二時間ほどが再び過ぎて、魔人は帰ってきた。
「はい、全部返してきました。えーと、じゃあ三つ目お願いします。何か有意義なのお願いします。始めたてですけど、一生懸命やりますから。あ、帰れとかもってのほかですからね?」
先手を打たれて言葉に窮した。帰れ、以外何も考えていなかったなぁ。
三つ目の願いどうしよう。無から有を生み出せないなら、何かが欲しいってお願いは止めておいた方が良いのだろう。欲しいものと言えば恋人だが、適当な奴さらってこられても困る……。いや待て、さらうなと言っておけばいいんじゃないか。
「三つ目の願いが思いついた」
「何です?」
魔人の目が期待に輝いた。
「恋人が欲しい。ただし、適当な女性をさらってくるのは無しだ」
「……どうしろと?」
この時点で眉を顰めるのはいかがなものか。さらう以外の選択肢を持っていないことを知って、いささか背筋が冷たくなった。
「だから、まずはこの見てくれや中身に惚れてくれそうな女性を探してくれ。それから、その女子と親密になるのにちょっと手助けしてくれればいいんだ」
「……難しいことを言いますね。もっと簡単なのにしませんか? ほら、初め縦でまだ慣れていないんで……。要人暗殺とかなら……」
「死んでほしい要人なんていないから大丈夫」
というか、要人暗殺より恋人候補探しの方が難しいの?
軽く……いや、かなりショックな事実だった。
「と……とにかく、三つ目の願いは恋人づくりのサポートをしてくれ。これに決まりだ」
魔人は大きな大きなため息を一つ吐いた。
「分かりました。それが願いなんですものね。探してきますよ。ちょっと時間はかかっちゃいますけど、その辺は大目に見てくださいね」
奉仕活動って辛いなぁ、なんて事を大声で言いながら魔人は姿を消した。
辛いのはこっちだ。モテない事実を改めて認識しちゃったじゃないか。
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