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三日目の夜だった。
来客の予定もないのに玄関のチャイムが鳴った。
首を傾げつつ、覗き窓から外を見ると草臥れたコートを着た中年の男性が見えた。見知らぬおっさんだ。これは開けるべきではないのでは……。
「すみません、警察です」
のぞき穴を覗いたことがばれたらしい、中年の男はニッと笑って身分証を出して見せた。
仕方なく玄関を開ける。
すると、資格になっていたところにもう一人、スーツ姿の若者もいた。
こっちも刑事らしい。
「はい? どのようなご用件ですか?」
「実は三日前にある事件が起こりましてね。御存じですか? 連続ノックアウト強盗……未遂事件です」
妙な間は、そこに苦笑いが挟まれていたからだ。
こっちにしてみれば、苦笑い所の案件じゃない。
鼓動が急に早くなるのを感じた。
「い……いえ」
「ご存じありませんか? 変な事件でねぇ。ノックアウト強盗……つまり、被害者を後ろからぶん殴ったりしてね、昏倒させてその隙に金品を奪うってやり口なんですがね。それが一時間ぐらいの間に連続で起こったんですよ」
「へ……へえ、物騒ですねぇ」
「おっしゃる通り、物騒な話です。みんな財布とられたらしいんですけどね、おかしなことに全部戻ってきてるんです。手元に。しかも、中の金やカードには手も付けてない。変でしょう?」
「た……確かに。それって事件になるんですか?」
「なりますよ。ぶん殴られた人は実際ダメージを被っているわけですから。金は取ってないかもしれないけれど、立派な傷害事件です」
傷害事件という言葉を聞いて、心臓がまた大きくはねた。
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