ぱくぱくきんぎょはなにをつたえる？

　なんでこんなにもさ、人生(じんせい)ってびしょ濡(ぬ)れなんだろうね。

(なんでだろね。)

　ふと、だれかに呼(よ)びかけられた気(き)がした。けれども、まるで片田舎(かたいなか)の無人駅(むじんえき)みたく、いつもは大勢(おおぜい)の乗客(じょうきゃく)でごった返(がえ)す駅(えき)のホームになぜかわたしひとりだけ。声(こえ)の主(ぬし)は、どこにもいない。

「はじめま。」

　まただ。さっきよりはっきりと聴(き)こえる。幼(おさな)い女(おんな)の子(こ)の声(こえ)だ。でも遠(とお)くから聴(き)こえるね。駅(えき)の改札口(かいさつぐち)を出(で)たさきから聴(き)こえてくるのかな。