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「ただ、意外だなあって。小篠さんは主婦になりたいの?」
「なりたいですよ、そりゃ。独身の間は働きますけどね。結婚したら生活の為に仕事したくないっていうか、旦那のお金で生活して、自分のお小遣いの為に趣味の延長で稼ぐ!
理想でしょ? まず、稼いでくれる人、見つけなきゃですけど…… 」
それをうんうんと頷いて、香田さんが口を開く。
「実は俺もね、あ、川原部長、正式にはまた後日報告します」
そう前置きした。
「遠距離の彼女とそろそろ結婚しようと思ってるんですよね。彼女をこっちに呼ぼうと思って。彼女は仕事辞めるんで、俺も川原部長みたいに頑張らないとな」
「そうなんですか!? すごーい! おめでとうございます! いいなあ。彼女、おいくつでしたっけ?」
「26だよ」
そうだ、私と同い年だった。またしても小篠さんの『いいなあ』に胸の引っ掛かりを覚え
「彼女は、地元がこちら、とかですか?」
と、尋ねてしまった。
「いや、生まれも育ちも、今住んでる香川」
「じゃあ、こちらには香田さん以外の知り合いは……」
「いないんじゃない? まあ、俺がいれば良いって言うんじゃないかな。だからこそ、目指すは川原部長って感じかな」
惚気とも取れる言い方に、小篠さんは素敵!と、言わんばかりに、香田さんにあれこれ質問を投げ掛けていた。
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