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「元カノと文乃が同じわけないだろう? 今は文乃と付き合ってるのに、同じ扱いした?
身に覚えもないことで振られるわけ、俺 」
強い視線のまま後藤さんが低い声で言った。身に覚えがない?私が知らなければこのままとぼけるつもりなのだろうか。
「堀越さんって、元カノだよね」
知ってるんだから。後藤さんの顔は怖いけど、負けないように私も睨み付けた。
「あ? ああ、まあ。え? 」
「私が知らなければ、それでいいと思ってたの?」
「知らない……って、別に知ってるかってことも、どっちでもいいけど」
「……は……」
どっちでもいい?
「余計なお世話だとは思ったよ。だからちょっとだけにして、すぐに帰って来ただろう?」
「ちょっとだけって何? 何がちょっと?」
浮気のラインってこと?キスまでならOKとかそんなことなんだろうか。最低ではないか。
「だから、顔だけ出して帰って来ただろ?
水曜日も、この前も 」
「顔……」
「そう、無理矢理会わせて帰って来た」
「会わせて?」
「お互いにまだすっきりはしてないんだよ。だから、会わせて、堀越さんが呼び出しても来ないだろうから俺が呼び出して」
「お互いに……呼び出して」
後藤さんの言葉を繰り返すだけになっている。意味が……わからない。
「堀越さん、もうすぐあっち行っちゃうだろ? だから、それまでにと思ったんだ。そこまで気にしてると思ってなかった、ごめん」
どこに行っちゃうのだろうか。何がそれまでになのだろうか。誰と誰が会ったのだろうか。堀越さんと、後藤さん……。どうやら、それ以外の登場人物がいるらしい。
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