2391人が本棚に入れています
本棚に追加
/176ページ
────
「そういえば、この前、俺がいない時に可愛い格好してた」
「ちょっと、子供みたいなこと言い出さないでよ」
「買った下着も見せてくれてない」
「買ってない、ごめん」
「……マジ? それ、地味にショック。来週一緒に買いに行く」
……やっぱり、下着屋さんもついてくるの平気な人か。
「ああ、ちょっと、冷蔵庫にあったチーズ、食べた?」
冷蔵庫のドアを開けながら聞いた。
「……ごめん」
「いや、食べてもいいけど、食べたら買っといてよ!」
「んじゃ、今から行こう。……一緒に」
「一人で行って!」
「間違えて違うチーズ買ってもいい?」
「……一緒に行くから、少し待ってて」
「文乃、3個入りのプリン2個食べたよね」
「……今から買いに行くから」
「はは! じゃあ今度は俺が2個ね」
「……」
「2の倍数で買おう」
私たちは毎日こんな感じ。だけど、後藤さんは女性と二人で食事に行くことはなかった。誰にでも優しいけれど、私には特別優しい。不動産屋の資料は気付いていたけど、何も言えなかったって後から言われた。
今はどうするか、まだ決めてないけれど、
「二人で酒が飲めるカウンターもいいな」
って、やたらと二人を強調してくるようになった。可愛い。
引き戸を開けるだけじゃダメらしく、遂に外してしまった。外した戸は私のスペースに置かれているのは納得出来ないので、今ちょっと揉めてます。
最初のコメントを投稿しよう!