第22話

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──── 「そういえば、この前、俺がいない時に可愛い格好してた」 「ちょっと、子供みたいなこと言い出さないでよ」 「買った下着も見せてくれてない」 「買ってない、ごめん」 「……マジ? それ、地味にショック。来週一緒に買いに行く」 ……やっぱり、下着屋さんもついてくるの平気な人か。 「ああ、ちょっと、冷蔵庫にあったチーズ、食べた?」 冷蔵庫のドアを開けながら聞いた。 「……ごめん」 「いや、食べてもいいけど、食べたら買っといてよ!」 「んじゃ、今から行こう。……一緒に」 「一人で行って!」 「間違えて違うチーズ買ってもいい?」 「……一緒に行くから、少し待ってて」 「文乃、3個入りのプリン2個食べたよね」 「……今から買いに行くから」 「はは! じゃあ今度は俺が2個ね」 「……」 「2の倍数で買おう」 私たちは毎日こんな感じ。だけど、後藤さんは女性と二人で食事に行くことはなかった。誰にでも優しいけれど、私には特別優しい。不動産屋の資料は気付いていたけど、何も言えなかったって後から言われた。 今はどうするか、まだ決めてないけれど、 「二人で酒が飲めるカウンターもいいな」 って、やたらとを強調してくるようになった。可愛い。 引き戸を開けるだけじゃダメらしく、遂に外してしまった。外した戸は私のスペースに置かれているのは納得出来ないので、今ちょっと揉めてます。
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