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タイムリープ
最近、眠れない夜が続いていた。
仕事柄、日勤夜勤とあり不規則なローテーションなのだ。
1日平均3〜4時間
それだけ寝れば充分だろうって思う人もいるはずだ。
確かに熟睡していれば充分なんだろうけど、
私は熟睡感覚が全く無い。
何年も前から睡眠薬を処方してもらっているが、慢性してしまったのか効果が薄れているようだ。
この日は夜勤明けでかれこれ、もう42時間起きていた。
全く眠気も無くアドレナリンが出過ぎているようだ。
とにかく寝ようと思い、薬を飲んで寝る事にした。
やはり薬は効きめが無いのか、睡魔が襲ってこない。
そんな時、ガクッとした感じがした。
急に睡魔が来たのがわからないがそのまま吸い込まれていくようだった。
そして目の前がパッと明るくなったと思うと、
なんだか懐かしい風景が目に飛び込んてきた。
前にもここに来た事がある気がして、声が聞こえる方に歩いていった。
すると映画の撮影をしているようで時代劇なのか江戸の町並みのようだった。
急に誰かに手を引っ張られると、
「君も迷い込んだんだね。その格好だとヤバイからこれ来て」
と古ぼけた着物を渡された。
私はわけわからず言われるまま着物を着るが帯が結べない。
「あの〜帯結んだ事ないんだけど」
と言うと慣れた手付きで帯を結んてくれた。
「ところでここは、映画の撮影現場なの?」
と尋ねると
「いや、ここはドラマの中だよ」
と答える。
はっ??
この人、頭おかしいんじゃ無いと思ってると
「よく見て!! 知ってる俳優さん達がいるだろ」
「うん。だから撮影現場なんでしょ」
と私は怒ったように話すと
「よく見ろよ。カメラなんてどこにもないだろ」
そう言われてみるとスタッフらしき人が見あたらない。
「ところであなたは?」
「君と同じさ。寝ようとベッド入ってガクッと違和感あったと思ったらここにいた。俺も撮影現場だと思い近くに寄って行くと、不信者だと思われ捕まるトコだった。着物を手に入れて着替えてもう1ヶ月も経つよ」
私は不思議そうな顔をすると
彼は
「信じれないのは仕方ないさ。いきなりこんなトコに来ちゃったんだからな。とりあえず家に行くか。君、名前は?俺は春馬」
「あっ私は姫愛。ねぇ〜ホントにドラマの中なの?私は帰れないの?」
「心配すんな。帰れるさ」
「えっ春馬さん、1ヶ月もいるんでしょ?」
「まぁ〜な」
春馬の後を歩いて行くと、知ってる俳優さんが沢山いる。でも探してもカメラやスタッフらしき人はホントにいない。
長屋の奥に入った所の家に
「だだいま〜」
と春馬は入っていく。私も後ろから
「お邪魔しまーす」と…
「春馬、誘拐でもしたのかい」
「まぁ〜な。俺達と一緒の姫愛」
「ここは源さん、この人の家。源さんも俺達と一緒でここに迷い込んで20年経つのかな」
「20年!! えっ20年も帰れないの?」
「姫愛ちゃんっていってたな」
「はい」
「姫愛ちゃん、俺達はこの世界とあっちの世界と行き来出るんだよ。こっちの1日があっちでは20分〜30分位なんだよ。まぁ〜こっちでは20年位滞在してるけどな。そのうち帰れるから安心しな」
「そのうちっていつ帰れるかわかからないんですか?」
「そうだな。突然帰れたりするんだよな。ここに居れば安心だから心配すんな。すぐに帰れるさ」
そう言って源さんは出掛けてしまった。
「源さんは大工なんだ」
と春馬か言うと私はパチンコの大工の源さんを思い出して笑ってしまった。
「姫愛、何笑ってんだよ」
「あ〜大工の源さんがあまりにもハマッていて思わず」
「あ〜そこか。俺も初めて源さんに会った時はふきだしたよ。でも源さん、向こうの世界でも大工なんだ」
「そうなんですね。ちょっと街を見てきても大丈夫ですか?」
「ああ〜大丈夫だよ。でも自分から声をかけてはダメ。特に役のある人にはな」
「それって?」
「源さんの話ではこの世界はストリー通りに進んでるらしい。エキストラの人達とは話したりしても何の問題もないけど、主役や周りの人達とは自分から話してしまうと少しずつズレが出てくるらしい。それが危険だと言ってたよ」
「でも話しかけられたらどうするの?」
「あ〜そんときは、話しても大丈夫みたいだ。まっ!! 今日は俺が街を案内するよ」
「ありがとう御座います。宜しくお願いします」
私は春馬と一緒に江戸の町並みを歩き始めた。
全て本物でドラマの世界とか思えないというか、何で此処に来てしまったのか、
夢でも見てるのか、そんな感じだが着物に下駄
慣れてないので足が痛くなってきた。
すると春馬が、
「そこの店でお茶でも飲むか」
と言って私を気遣ってくれた。
よくドラマにててくる茶店?団子屋?みたいな。
椅子に腰けけて団子をいただく。
意外と美味しいかも。
そこに侍みたいな格好して人が茶店に入ってきた。
わぁっマジか。
見ちゃ駄目と思うとなぜだかガン見してしまう。
その時えっ!! この人…と思っていたら
「ここの団子、なかなかいけるだろ」
とやさい笑顔で話しかけてきた。
あまりにも突然というかびっくりして
「あっ、はい。」
と言いながら背筋ピーンみたいになってしまう。
「親父、此処に団子もう一つ持ってきてくれ」
と言い、店主にお金を渡し
「ゆっくり食べていきな」
と私に言いながら席をたっていった。
思わず私は立ち上がり
「ありがとう御座います。ごちそうさまです」
と頭を下げた。
私は驚きすぎて震えが止まらず、それを見た春馬は私の両腕をつかみ
「大丈夫か?」と
「えっえっえっえっ、あの人って」
「まぁ〜落ち着け」
私はお茶をのみ一息ついた。
そして何処に来たのかわかったのだ。
興奮がおさまらす、団子はどこに入ったのか味もわからず食べ終えた。
そして源さんの家に帰ろうとしたその時、
目の前に居た子供の上に材木が落ちてきた。
「危ない」と
子供を突き飛ばして私の上に材木が落ちてきた。
わぁー。
気がつくと私は家のベッドの上にいた。
何か変な夢を見たなぁ〜と思い時計を見ると
薬を飲んでたからまだ10分しかたっていない。
うーん。寝てない過ぎて幻覚でも見たのか…
何だかものすごく眠くなってきた。
あ〜このまま寝れそうだなぁ〜と思っているうちに眠りについた。
朝、目が覚めると久しぶりに熟睡感があった。
こんな感覚はホントに久しぶりだ。
頭がスッキリしてベッドからすんなり起きる事が出来た。
いつも起きるのに30分以上もかかるのだ。
でも昨日の夢?は何だったんだろう。
あまりにもリアル過ぎて…
私は少し気になっていて時代劇のドラマを観ることにした。
でもシリーズもたくさんあるし、何話もあるのでどこから観れば良いのかわからなかった。
仕方なく1話から観ていくことにしたが
気が遠くなってくる。
そのうちウトウトとし始めてしまった。
気がつきて目が覚めると
そこには春馬がいた。
また夢見てるのかなぁ〜
ここは夢で見た源さん家(ち)
「やっと目が覚めたな。頭を材木で打ってそのまま気を失ってたんだ」
「えっ!! 夢じゃないの?」
「おい。姫愛大丈夫か」
「ちょっと待って、確かに夢の中で子供を助けて気を失って気がついたら自分のベッドにいたんたけど…」
「姫愛、夢じゃないって言ったろ」
「うん」
ドラマの中って言われたけど、さっきまで私はドラマを家で観ていたはず。
でもここに居るって事はどういう事なのか???
「春馬さん、私ずっとここに居ました?」
「何回か覗いてみたけど、寝てる感じだったかなぁ〜。でもよく眠ってるからそっとしておいたんだ」
「じゃあちゃんと見てなかったんだょね」
「そうなるよな」
う〜ん。でも私が向こうに居たのは6時間は経ってるから源さんの話で考えるともうこっちで1週間は経ってるはずた。
「春馬さん、私は気を失って目覚めるまで何日でしたか?」
「たぶん、3日〜4日は経ってると思う」
「思うって何よ」
少し起こったように春馬に言う。
「いや〜実はあれから少しして俺も源さんも向こうの世界に戻ったんだ。またこっちに来て部屋を見たら姫愛がまだ寝ていて…源さんはまだこっちに来てないんだよな」
あー。そういうことか。
皆、元の世界に戻って私が一番先にまたこの世界に来ちゃったんだ。そして春馬が来たタイミングで目が覚めた。
そういう事なら理解できそうかも。
ゴチャゴチャブツブツ色々と考えていると
「二人とも戻ってたか」と源さんが入ってきた?帰ってきた?
まぁ〜どっちでもいいや。
となると、観ていたドラマの話が今のここの世界なのかもしれない。帰って確かめたいけど簡単には帰れそうに無いなぁ〜
「源さんはどうやってここに帰ってこれたの?」
「俺は必ずドラマを観ることにしている。観ながら寝ちゃったりするんだけどその寝た時にこっちに来てる気がする」
「あ〜私も家で今何話のドラマか知りたくて1話から観ていてそのうちウトウトしてたら目覚めたらここに寝てた」
来る方法は何となくわかったけど、問題は帰る
方法だ。
「源さん春馬さんはどうやって向こうに帰れたの?」
「春馬が姫愛ちゃん、運んできて布団に寝かせて襖を開けて見に行ったら戻ってこなかった。何やってんだと俺か襖を開けたら元の世界に戻っていた。今までこんな事無かっよ。姫愛ちゃんが来て何かが変わったのかもしれないな」
「じゃあ私も襖を開ければ帰れるのかな。ちょっとやってみよう」
私は襖の開け閉めを何度もしたが、何の変化も無かった。
帰る方法を見つけなきゃと焦っていた。
「焦っても仕方ない。また帰れるから。頭は大丈夫なのかい?」
「はい。寝たら凄くスッキリしていて傷もないみたいだし」
「それは良かった。たぶん俺達はこの世界では不死身だと思うんだ。刀で切られても死なない。そして何かのタイミングで元の世界戻る。まだ戻り方ははっきりしないが姫愛ちゃんも増えたことだし三人で見つけていこう。もしかすると、他にも同じような人がいるかもしれない」
「また、明日から町でもあるいてみるか。姫愛も行くだろう」
「うん。帰る方法を見つけなきゃだからね」
「じゃあ飯にするか。春馬手伝え」
「私もお手伝いします」と言ってみたが、ガスコンロも無いカマドじゃ手伝えないかも💦
「姫愛ちゃんは病み上がりだから、座って待ってな。大したもんできないけどさ」
そう言って男二人でご飯の支度をはじめた。
慣れた手付きでカマドに火をおこし、ご飯を炊いていく。
何か、キャンプに来てる感覚だった。
まぁ〜私はキャンプとか、お好み焼き屋とかは男の子が作るものって思っていたので実際やった事はない。今度帰ったらカセットコンロとか持って来れないかなぁ〜と思っていた。
焼き魚と味噌汁とご飯と漬物
ここではきっとご馳走なんだと思われる。
ご飯も白いご飯だし…きっと
久しぶりに美味しいご飯を食べた気がした。
そしてこの日はそなまま眠りについた。
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