2章第2話~スポーツができるってこんなに気持ちいい!~

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リール・ア・リーフ初等学校では2年生になると1ヵ月に一度か2ヶ月に一度くらいの頻度でパーティーが開催される。 春夏秋冬を愛でる会であったり、学校の優秀者を祝うものであったり、名目は色々だがパーティー慣れさせるためというのも大きいようだ。 俺も一応貴族の生まれなので学校に通う前から礼儀作法を学び、両親に連れられてパーティーに参加もしていた。 「うまい!うまい!」 「食べ過ぎじゃねえか?」 「ファンデンくん、これも美味しいよ。」 ダニーはパーティーに出された料理をたくさん食べていた。俺は食べ過ぎじゃないかと聞いたものの、まったく話を聞いていないようだ。 ダニーはその食欲に見合うちょっとぽっちゃりした子どもで、彼の父もよく食べる人らしく俺の父も彼の父のことを知っていた。 【猛牛コラレス】とその豪勇と大食漢ぶりは他国にも名が知れているらしい。少なくとも食欲は父譲りなのだろう。 また別の日、ダンスパーティーが行われた。1年生の時からダンスの授業があり、社交ダンスの基礎を学んだ後、また授業を兼ねてのパーティーだった。 俺が東亜だった頃はリズム感というものが皆無で、高校のエアロビクスの授業で滑稽な踊りを披露してしまいクラスメイトの爆笑を呼んで以来、エアロビクスの授業は全部休んでいたくらいだ。 だがファンデンとなってからはリズム感が掴めるようになり、華麗に踊れるようになった。 フロアに輪を作って、全員が同じダンスをするというもので、男女が手を握ったりなどの接触は特にないものだった。 一応そういったダンスもあるらしいが、母曰く「子どもにはまだ早いの。」とのことで、学校では前者のダンスばかりが行われていた。 ルークも男女が接触するダンスの存在を知っているようで、更にそのダンスをしたかったようで残念そうな表情を見せていた。 「ファンデン。アメリアちゃん、ダンスうまいなあ。」 「ん?そうだねぇ。」 女子たちが固まってダンスしているのを見ていたセリオスが俺に話を振ってきた。俺もセリオスが見ている方向に目を向けるとたしかにアメリアが一番目立っていた。 見た感じ、覚えが早いというのもあるのかもしれないが、明らかに慣れているような感じがした。もしかすると彼女の家はよくダンスパーティーに参加する家なのかもしれない。 俺たちが彼女らの方向を見ていると、アメリアもこちらの視線に気づいたのか、俺たちに手を振ってきた。 手を振り返すのだが俺たちの中で、俺とセリオスの後ろに居たヨーゼフが一番騒がしく、腕を振り回してるんじゃないかと言うくらい強く振っていた。 後ろを振り返らずとも分かるくらいに風切り音と衣擦れの音が聞こえる。恐らくヨーゼフはアメリアに好意を持っているようだ。 俺はそんなヨーゼフが昔の自分と被って思えて、(うんうん。頑張れよ、少年!)などと勝手に見守ってる訳の分からないおっさんみたいなことを思っていた。いや、実際に中身おっさんだが。 パーティーは堅苦しい部分もあるが楽しい。早くお酒を飲んでも良い歳になりたいものだと思いながら、パーティーの時間を過ごした。
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