2章第4話~リーダー俺は決定事項です?~

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『1ミニー=1分』 2時限目に入ってからも引き続き資料に目を通す作業。俺が選んだリール山戦闘記を隅々読むには時間が足りなさそうだと今更ながら気づいた。 まったく、神に能力を強化されてもこういった計画性0なところは全く変わらないなと根っこの部分はほとんど変わらぬ自分に内心苦笑いだ。 俺は飛ばし気味に読み始める。重要そうな単語を探しつつ読み進めて行ったものの、結局他の資料には手を出せなかった。 「それじゃあ改めて何を重点的に調べるかを相談しようか。」 残り20ミニーとなった時、改めて重点的に調べたい箇所を話し合う。 女子たちはどうか分からないが、少なくともセリオスとフリオは目に見えてウキウキとしている様子が見て取れ、何かありそうだ。そして思った通り最初に口を開いたのはセリオスとフリオだった。 「カール・グレイティス一世を調べたい!」 「【破剣公バルトルメス】がいい!」 セリオスもフリオもおそらくさっき読んでいた軍記物語を読んで気に入った人を調べたいと思ったようだ。 破剣公バルトルメスとはグレイティス王国の王族の1つ、フルーレ家出身の将軍、【バルトルメス・フルーレ・ドーラ・グレイティス】の愛称だ。 非常に武勇誉れ高い王族で、リール山の戦いでも抜群の戦功を挙げたとされている。 今でも破剣公バルトルメスを尊崇する将軍は数多く居て、俺も父から破剣公バルトルメスの武勇譚をよく聞かされていた。 「戦闘に参加した王や公爵、将軍辺りにスポットか……。いいかもしれないな。アメリアさん、マリアさん、アリアさんは何か意見はある?」 「それなら、私は【フェリス・ペルート】さんがいいですね~。」 俺が女子たちに話を振ってみるとマリアが答える。どうやらリール山の戦いに参加した人を調べるという方向でもう大方固まりそうな様子だ。自分としてはその方向でも特に問題は無いので、特に反論することは無い。 ちなみに俺はフェリス・ペルートという人物に関してはよく知らない。指揮官の名前はほぼ全部覚えさせられたとので、兵卒か魔術師辺りかという結論に至る。 「じゃあ俺たちはリール山の戦いに参加した人物を中心に調べるということにしようか。」 「いぎなーし」 結論として俺たちはリール山の戦いに参加した人物をいくつかピックアップして調べる事になった。 全員1人ずつ調べて持ち寄って、それをまとめて発表という形にしようと計画を立てる。 セリオス、フリオ、マリアは既に調べたい人物が居るので早速資料を借りる手続きに行った。 俺は不死身の兵卒と異名を取った、【ホルト・ローズ】 アメリアはこの戦闘に学者でありながら参戦した【アーシュレ・ホイケ】 そしてアリアは弱冠20歳でリール山の戦いに参加し、活躍と引き換えに命を落とした魔術師【シルヴィ・ラシュリー】 この3人を調べる事に決めた。そして俺たち3人が資料を借りる手続きを終えた後、今日の授業の終了を告げる長いチャイムが鳴り響いた。
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