1章第2話~貴族ってこんな事するんですか?~

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ロートリース家は武門の家だ。それ故に魔術もそうだが剣術や槍術といった武術全般を特に大事におり、特に武術の稽古に多くの時間が割かれている。 今日もみっちりと稽古だが俺は武術の稽古は割と嫌いではなかった。 剣と魔法で戦うようなゲームや漫画が好きだったし、それを見てちょっと真似をしてみたりと30になっても家でたまにやってたりしていた。 「ではまずは打ち込み稽古ですぞ。」 俺の武術の師範であるゼオンの言葉に『応。』と侍っぽく答え、打ち込み稽古用の柱の前に立つ。今稽古している剣は両刃で長い刀身の両手剣だ。 本物は持つには持てたが、まだ重すぎて扱えず危険な為、それに模した木剣で稽古を重ねる。 柱に斬りかかったり身体を預けてその後の体捌きを練習したり、ゼオンの指示を聞いて即座に反応し対応を変える。 しかし彼も父から騎士たちの長を任されたほどの男、俺の反応や動きを見て返しづらい攻撃を仕掛けてくる。そして 「今の動きではファンデン様は斬り捨てられましたな。」 これである。ゼオン曰くこの稽古は彼が「良し。」と言うまでか、負けるまでのどちらかでしか終わらないらしい。 しかし何度繰り返しても「良し。」の声は聴けず毎度毎度負けて終わる。 一度家中の騎士にゼオンとの稽古について聞いてみたことがあったが、その騎士曰く自分も終わりの言葉は聞けず終いだったらしい。 だが実際に剣を交えてみても勝てた試しがないようで、意地悪でやっているわけではなく本当に対応できるからこそらしい。 今は対格差がありすぎて彼と剣を交えたことは無いが、成長したときそれが本当なのかを確かめたい。 武術の稽古を終えた時には汗はびっしょりとかいていて更には息も切れ切れで庭の芝に身を横たえる他無かった。 心地いい風が吹くたびに芝の匂いが湧き立ち口腔を刺激する。 今となってはいつもの事だが、東亜だった頃は仕事以外で外に出て、芝に身を横たえて空を見上げる事など無かった。 時間も無かったがまず外に出る気力すら湧いていなかった。そのまま目を閉じて昼寝でもしたい気分なのだがやはりそれは許されなかった。 「次はお勉強の時間ですぞ。」 『あと5分~。』 「またですか。何を言っているのかさっぱり分かりませぬが早くお行きなされ。」 僅かばかりの抵抗をしてみたが、クソ真面目なゼオンにこの手は通じなかった。 仕方なく俺は立ち上がり、屋敷の中へと戻って行った。
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