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2章第1話~おっさん(6歳)、2回目の小学生になる~
俺が6歳になる年の4月、俺はリール・ア・リーフ初等学校に入学した。
この学校は主に貴族層の子息や大商人などの富裕層が通う初等教育の学校だ。
1年生から6年生まであり、期間は俺のよく知っている小学校と同じだった。
だが名門の学校になど通ったことは無いし、ここで一応同世代ということになっている子どもたちと接したこともほとんどないので少し不安はあった。
入学の式典が行われ、それぞれのクラスに振り分けられる。
引率の先生に連れられて自分達の教室に行くことになった。
式典ではあまりキョロキョロするのは良くないと、ほとんど前を見ていたので気づかなかったが、名門の子息とはいっても俺が思っていたこの世代の子どもとそこまで変わらないなと思った。
落ち着きがない子が居たり、初めての環境に不安そうな子、社交的な子など。もう感性がおっさんの自分が溶け込めるかはまだ不安だが幾分か気持ちは楽になった。そんな時
「お前、でけえなあ。身長どれくらいあるの?」
と隣のクラスメイトに声を掛けられた。
俺はこのクラスの平均身長よりかなり身長が高かった。頭1つどころか肩から上が出ているような状態でかなり目立った。
子供らどころか大人の先生すらかなり驚いていた様子なのでやはり自分は相当大きいらしい。だが相手から話を振ってくれたので、今はこの長身に感謝しながら
「130センメラーくらいかな。」
「130!?俺の姉ちゃんよりもでけえよ多分。」
この子には姉が居て、俺はその姉よりも大きいらしい。「そうか。」としか答えようが無いような気がする。
俺はあまり人と会話をすることが苦手だ。他に何か無いかと思ったが結局
「そっか。」
「俺、セリオス・レンツォ!よろしく。」
この子改めセリオスは社交的な少年のようだ。少し声がデカいが。
お陰で引率の先生に「うるさいですよ。」と言わんばかりの露骨な咳払いをされてしまった。
セリオスも先生が俺たちに言っているのだと察したようだが、ニンマリとした笑顔を見せていた。
悪い子ではなさそうだし、こういう子は嫌いではない。俺も笑顔を返してさすがに小声だが
「俺はファンデン・ロートリース。よろしくな、セリオス。」
そう返した。
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