はじめに

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はじめに

「まさか愛莉ちゃんがここまで上手くいくとは思わなかった。これも読んでくれるみんなのおかげだな」 僕は福島県に住む公立小学校に通う萩原翔太郎(はぎわらしょうたろう)白河(しらかわ)の関を越えると関東平野が広がる。 僕は幼稚園の時から友達と外で遊ぶといった活発的な子ではなく部屋で絵を描くことが好きでよく先生から翔太朗君は絵が上手だね。他の子から声をかけられてもずっと絵を描いているような少年だった。 時折、先生から夢中になれる事があるのはいいことだけどもっと周りの子たちとも仲良くしなきゃダメだと注意されることも暫しあった。ならばと思い友達と鬼ごっこや鉄棒等で遊んでいるがあまり楽しいと感じなかった。 幼稚園バスに乗り家に帰るとすぐに画用紙に絵を描き始めた。ママは翔太朗、いつも絵を描いているね。幼稚園の先生からずっと絵を描いているって聞いたよ。ホント絵を描くことが好きなんだね。 僕はうん、絵を描くの楽しいから。この日はママ、パパ共に誕生日ではなかったが2人の似顔絵を渡した。ママ、パパ共に喜んでくれて翔太朗ありがとう。でも僕は上手く描けなかった。 ママはそんな事ないよ。翔太朗がパパやママの為に一生懸命描いてくれたんでしょ?その気持ちが嬉しいからさ。続くようにパパはホントママの言う通りだよ。大事なのは絵の上手さじゃない。相手のことを思って描いたかどうかだよ。 僕はママ、パパありがとう。もっと絵を描いてもっと喜ばせたいな。出来るのかな? パパは翔太朗なら出来るよ。そうだ、次の土曜日に一緒に漫画喫茶に行こう。まだ僕は漫画喫茶がどういう所なのかまだ知らずにいた。漫画、それは一体どういう物なのかパパに尋ねた。 パパは漫画にスゴい興味持っているね。そこの本棚にあるのが漫画だよ。翔太朗が読んでも分かりやすいのだと……これかな。パパが小さい時に読んでた漫画だよと僕に子供向けの漫画を差し出した。 僕はパパの部屋で1時間、1冊の漫画を読み終えた。 漫画って面白いね。今度行く漫画喫茶ってここにある漫画以外にも置いてあったりするの? パパはそうだよ、この部屋にある漫画なんてほんの少しだけだよ。行けば分かるけど1日では読み切れないほど沢山漫画があるよ。僕は思わずここの部屋だけでも何冊あるのか分からないのにそれ以上ってスゴイんだねと俄然(がぜん)興味が湧いた。 そして次の土曜日、僕はパパと漫画喫茶に向かった。3時間の間、僕は沢山の漫画を読んでいるとあっという間に時間が過ぎた。 翔太朗、時間になったから帰るよ。僕はパパにもう帰るの?もっとここにいたいと駄々をこねた。じゃあもう少し居ようか。お昼ご飯はここで食べようと軽食を食べて再び漫画を読み始めた。 僕はまだ幼稚園児で漢字は読めない。だが描かれている絵の迫力に圧倒されてこんな絵を描きたいという思いが強くなった。 午後6時、パパは僕に今日はもう帰るよ。どうしても来たいならまた明日来ようと誘った。 この日を境に僕は絵を描くこと、そして漫画を好きになった。
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