心は謎めいて?

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心は謎めいて?

コイツの言った事を無視して、無言でドアの鍵を開けた。 ドアを開けて閉めようとすると… 「入れてくれないの?」 と得意の子犬のような寂しげな表情をして聞いてきた。 負けちゃ駄目、負けちゃ駄目なんだけれど、寒い中、来てくれた事、待っててくれた事を考えると入れてあげたくなった。 ……って、後付けがましい? 「質問に答えたらいいよ。どこから来たの?」 「ははっ、この隣のアパートからだよ。2棟の201号室、椎名さんち」 え?隣のアパート? 私が住んでいるアパートは、2DKと3DKが有り、広さで棟が分かれている。 ウチが2DKで、隣のアパートは3DK。 「実は…昨日の昼間に引越して来て…、俺が学校行ってる間だったんだけど…。 つまり、間違えちゃったんだよね、1棟201と2棟201をさ…」 「そうなんだ…じゃあ、入っていいよ」 「有難う、百合子」 玄関越しに話していた私達。 寒いから勘弁してやる事にして、詳しくは中で聞こうっと……! エアコンのタイマーをセットしておいたので、程よく暖まっている部屋。 図々しくも、くつろぎ出す奴。 「またくつろいでるし……。今日はお腹空いてないの?」 「うん、食べて来た」 昨日とは違う私服の彼は、可愛いさが増しているようだった。
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