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”ピンポーンッ…”
「あ、誰か来たかも?」
「マリアちゃんの泣き声!?」
彼を虐めてやろうと企んでいたら、呼び出しのベルと共に、部屋の中までマリアちゃんの泣き声が響き渡った。
「ホッ…マリア、有難う…お兄ちゃんは助かったよ。マリアーッ」
私の元を離れて、するりと玄関まで駆け付ける彼。
助かったって何よ、馬鹿っ!
「マリアがお兄ちゃんがいいって泣くの」
「おいで、マリア」
里沙ちゃんが玄関先でそう言って、彼に手渡すとマリアちゃんは、すぐにピタッと泣きやんだ。
「マリア、りょうちゃと寝たいの…」
ブロッコリーの壁を超えても、マリアちゃんとの強い絆があり、私には果てしなく遠いみたいだわ…。
でも、彼の腕の中でスヤスヤ眠るマリアちゃんは可愛くて憎めないわ。
ちゃんとお兄ちゃん、してるね。
マリアちゃんを家の布団に寝かせに行った彼。
居ない間、私は樹里ちゃんと話をしていた。
「学校ではね、お兄ちゃんは他人のフリだし、女の子が沢山寄ってくるんですよっ。もうっ、学校では別人っ!」
「へぇーっ…」
アイドル系の顔立ちだし、やっぱりモテるんだね。
「学校で絶対、家の事なんて言わないし、すましてるんですっ!…でも最近、年上の彼女が出来たって噂されてたけど。皆に百合子さんの事を言ったみたいですっ!
それでぇ、友達の相川ってのが変な奴で…百合子さんの友達を紹介して欲しいとか何とかでっ」
うーん…彼が居ないとよくしゃべるね、樹里ちゃんは…。
そうか、友達は変な奴で、学校ではモテモテですましてるのか…。
私に見せる顔は特別な訳だ。
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