40人が本棚に入れています
本棚に追加
「それからぁ、百合子さんは、お兄のどこが好きなの?学校では女の子といちゃついてるし、タラシですよ、あんなの。
早いとこ、追い出した方がいいですよっ!」
いちゃつき…タラシ…あんなに純情なのになぁ。
学校では無理してるのか…まぁ、腹が立たないと言えば嘘だけど、ここは大人の余裕で許してあげる。
「樹里っ!」
何時になく怒り顔の彼がいつの間にか、お父さんと共に部屋に上がっていた。
「お前、また当番サボってるんだって!?
マリアが俺を諦めていたのに、お前が思い出させて泣かせたんだって?
当番が増えるのが嫌で、マリアをダシに使って泣かせて、俺を連れ戻そうとしただろっ!」
ゴチンッという鈍い音が頭に響いた樹里ちゃん。
涙目で…
「パパァーッ!!お兄が殴ったぁっ」
お父さんにしがみついた。
「こらっ、諒!妹を泣かせるとは何だっ?」
お父さん…怒っております。
その後ろでは彼に向かって、アッカンベーをしている樹里ちゃん。
「親父、樹里を怒りに来たんじゃないのかよっ?」
「あっ、あぁ、そうだったな…樹里、当番はサボっちゃ駄目だぞ。な?」
「ぐすっ…はぁい…」
嘘の泣きべそ樹里ちゃんの勝利みたいで、お父さん…女の子には弱いのね。
たいして怒ってないじゃんっ!
「百合子さん、いつも諒がお世話になって申し訳ない…。学校では、タラシの諒ですが、本当は純情な奴ですから、これからもどうぞ叱咤激励して下さいね」
叱咤激励はいいとして…タラシ…純情…お父さん、何をどこまで知ってるんでしょうか?
謎です。
「つーか、お前らっ、帰れっ!」
お父さんと話す間もなく、彼は二人を追い出した。
最初のコメントを投稿しよう!