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中でも此処はお気に入りの場所。自然豊かで人の気配が殆ど無く視界いっぱいの緑と川のせせらぎと小鳥の囀りがオレの癒しだー。
ぶわっと美味しい空気そこからひっそりとけれど美しく控え目に生える清廉な花は勿論オレの花。うんうん、ここの鈴蘭は何万回と観ても綺麗に咲いているから鼻が高いなー!
上機嫌になって踊ってたら視界の端に人の姿が見えた、そしてオレはその人の見た目におよっとなった。その人は黒髪焦げ茶目薄顔で何ともオレの故郷によく居そうな顔をしていたのだ。
まぁ身長はまおーといい勝負なくらい高いが、そして極めつけは何と!何と!!久しぶりに見るTHE平凡!YES平凡だ。(失礼)
暫く遠くから見ていたが彼の持っている武器に今度はおよっ?どころでは無くびっくらぽん(古いw)した。現世でも実物は見た事ないけどあれは多分日本刀だ。もっと近くで見てみたいなぁと思って彼の方にふわふわ飛んで近づいてみる。
あ、精霊って妖精もだけど基本的に人間とか獣人、魔物には見えない。だからくるくる回ったって目の前で変顔したって(しないけど)あと触れたってバレない。でも獣人や魔物は気配に鋭いから見えないけどバレる(ビビる)。まぁだから鈍感な人間は妖精によくいたずらされてるんだけど…。こっちから姿を出そうと思えば出せるし消そうと思えば気配だってほぼないくらいに出来るんだよ。なのに、
「…刀が気になるのか?」
…………………え?見えてんの??
念のため他に誰かいないかキョロキョロ「いやお前の事だ。」………やっぱりオレー??
ちょちょ、ビビるビビる。
フワッ
気配を完全に消して逃げる。
「!?驚かせて悪い!お前と話がしたいんだ!!」
そいつは周りをきょろきょろしながら馬鹿でかい声でそう言った。
「……明日またここへ来るから、良かったら来てくれ!!待ってる!」
そう言ってそいつは馬鹿でかい声とは反対に静かに去っていった。
ビビってつい逃げちゃったけど
ちょっと話したかったなぁ。
……………アイツ、また来るって言ってたな。
次の日そいつはまだ暗い朝日が差したばかりの時間帯からここに来て素振りをしていた。
「来てくれたのか。」
やっぱりオレのこと見えんだ。珍しいー。
「待ってるって言われちゃったからね。」
そいつは顔こそ無表情だがオレが来たことを喜んでいるように見えた。
「俺は京極大和。君は………天使か何かだろうか?」
そいつ、もとい大和が余りに真剣な顔でそんな事を言うから笑ってしまう。
「さて、何かなー?あ、オレの事は好きに呼んでいいから、ていうかそんな事より大和のそれ…。」
「あぁ、昨日もだが刀に興味があるのか?」
「うん、オレの前に居た場所にもあったものによく似てるんだ。その、珍しいものだと思ってたからもう見ることはないと思ってた。」
「そうなんだ、これは俺の故郷で造られているんだ。確かにここら辺では余り見ることはないな。小さな国だから。」
そっか。オレと同じ記憶持ちだったらなーって思ってたんだけど、…舞台はどっちかっていうと外国風だったけど日本産のRPGゲームだから日本モデルの国も有るのかも。
だけどオレは久しぶりに元居た場所の話が出来て楽しかった。江戸時代?もう少し進んでる?でもオレがいた時よりちょっと昔の設定なのかな。でも、やっぱり懐かしい感じするな。
「……シロ。」
「んー?」
「好きに呼んでいいって言ったから、シロってどうかな?」
え、犬じゃん。見たまんまだし。
でも、
「まぁいいよ、オレはシロだ。」
これが大和との出会いだ。
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