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「どひゃあ、相変わらずすごいわぁ」
校門を抜けて歩いてくる四つの人影に、あたしもみんなとは別の意味でため息をついた。
名門中高一貫校であるこの花咲学園には、いろんな人間が集まっている。大企業の御曹司だったり、芸能人だったり、スポーツの才能があったり、あるいはちょっと勉強ができるだけの一般市民だったり。
その中でも、一際輝いている二年生の男子四人組がいる。それが「ひととせ王子」だ。
何も知らない中等部一年生や高等部受験組の人たちにひととせ王子のことを説明するのに、長々とした言葉はいらない。たった一言こう伝えればみんなすべてわかってくれる。
全員もれなく顔がいい、とね。
間違いない。
彼らが毎朝登校する七時ジャスト、校門前から昇降口までの通路に、大名行列を前にした民衆のようにこうして女子たちが連なるのがその証拠だ。
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