7人が本棚に入れています
本棚に追加
心配すぎる...
その日、南雲 実咲はお昼ごはんを学外にあるコンビニに買いに行こうとしたところで見てしまった。
「あの、北柴さん、これ以上は」
同僚の北柴 賢司の影で姿は見えないが、この声は間違いなく、今年の新卒教師の畠中 恵先生に違いない。
こんな校舎裏で何をしているんだろう。実咲は押さえられぬ好奇心をなんとか押さえつけて、校舎の影から飛びたさずに聞き耳を立てている。
「畠中先生」
何を話しているか、聞こえない。
学内捜査部隊隊員と教師の恋愛はご法度ではない。ただ、なんとなく止めておいた方が良いのではないか、という空気が流れている。
(普段からルール遵守!とばかり言う、ルールの守護神がまさかの規律違反を!いや、規律違反ではないか)
自身の中に芽生える妄想にノリツッコミを入れる実咲。実咲が1人ノリツッコミをしている間にも、北柴は畠中と何やら小声で話している。実咲がいるところでは聞き取れず、2人の話の内容がわからないでいる。
「......では今日仕事が終わったら、連絡ください」
北柴はその言葉で畠中との会話を終えて、実咲がいる方へ歩き出す。実咲は慌てて、物陰に隠れる。
北柴が歩き去るのをきちんと確認してから、畠中の様子を見る。畠中は手に持ったスマホをただじっと見ているだけだ。
(あの誘い方、まさか2人はもう......!?)
実咲は落ち着かない気持ちのまま、畠中に気づかれないようにそっと離れる。
腕時計を見ると昼休憩もあと30分ほどになっていた。思いの外、北柴と畠中の密会を観察するのに時間をかけすぎたらしい。実咲は慌ててコンビニに向かって走り出した。
最初のコメントを投稿しよう!