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ダラダラと飲み続け、気がつけば深夜2時を過ぎていた。
「鍵、閉めとけばよかったな……」
部室の入口を見やりながら、不意に坂本が呟いた。
「何だよ? 別にいつも鍵なんて閉めねーだろ?」
室内に人がいる時は鍵をかけることはほとんどなく、例外があるとすれば、宿泊する私が防犯のため、眠る寸前にかける時だけだったろう。
しかし坂本は私の言葉など聞いておらず、部室のドアをジッと見つめていた。薄手の磨りガラスがはめられた、何の変哲もない内開きのドアに特に変わった様子はない。
私が「どうしたんだよ?」と尋ねようとした時、彼が先に呟いた。
「来たぞ……」
促されてドアを見てみると、磨りガラスに人影が写った。
しかしどうってことはない、坂本が後から合流してきたように、アルバイトを終えた部員や別の場所で飲んでた部員が遊びに来たのだろう。何の示し合わせもなく、夜中に暇をしている部員がふらっと集合することは珍しくなかった。
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