1

10/12
前へ
/37ページ
次へ
そのまま、会議室の時間は止まった。 時計の時を刻む音と、データが吐き出される無機質な音が室内を支配している。 ハヤマは、視線を机のうえのファイルに落とす。 どういった調査が行われたのか、そこには数々の子供たちの報告書があった。 それは、このシェルター内にいる子供たちのもので、あとは最近保護された子供のものまであった。 そのファイルには、ハヤマの実子のデータも載っている。 ハヤマの実子も選ばれた理由は、公平さを欠かないためだった。 それはわかる。 だが、なぜ自分の子供までもが選ばれなくてはならないのか。 なぜ、自分のものではいけないのか。 子供のように、柔軟ではないのはわかる。 だが、これまで生きてきた全てはそこに詰まっており、亡国において統治をしてきた、という意味では適材適所ではないかと思う。 子供たちには、こんな時代とはいえ夢や希望もある。 そして、子供たちの未来のためにも安定した世界を与えたい! いままでのつけは、我々大人こそが払うのが当然ではないだろうか。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加