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「……マチルダ」
そう言い、ナディアがマチルダに握手を求める。
「あとのことは、頼んだわ」
ナディアの瞳には、有無を言わさない強固な光が宿っている。
「………初めから、決めていたんだろ?」
その問いには答えず、薄く微笑んだナディアはマチルダの手を強く握り返す。
そして、そのままアレクに振り返る。
「データの算出は、任せたわ。そして、フォローも」
アレクは頷き、
「任せろ」
とだけ答える。
「……ハヤマ」
その瞳は、ハヤマを見つめていた。
吸い込まれそうになる瞳を見返したものの、ハヤマはなにも言うことが出来なかった。
なぜ、君が………
だが、それは愚問だった。
いくら止めても、彼女は決定したことは覆すことはない。
それが、ナディアだった。
なにか言わなくては……そう思うが、ハヤマの舌は張り付いてうまく言葉が出ない。
「それじゃ、あとで会いましょう」
そう言うと、ナディアは会議室を後にした。
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