プロローグ

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そんななか、未だ未知の世界である宇宙へと移住する計画があった。 いわゆる、ノアの方舟計画である。 それは、枯渇し人類を拒む母なる地球から、あらたな資源と安住を求めた惑星への旅立ちだった。 それにあたって、大型の長距離航行用のシャトルも開発された。 その前後に、もっとも近い月への移住が提案されたが、ここて問題が起きた。 重力の違いである。 あくまでも、地球を本拠地としての移住計画であったが、そこでも問題が浮上する。 地球から月への移住は可能だったが、月から地球への移住は叶わない。 また、重力という枷から放たれた新人類の能力は未知数であり、そのため統治が懸念される。 資源を巡る戦争や、ひとつの自治として独立される可能性も否定できない。 それにあたって、近くの惑星ではなく地球を棄て地球に酷似した惑星への移住が提案された。 だが、長期にわたる宇宙空間の航行は、人体にさまざまな影響を及ぼす。 体力、筋力の低下にともない、知力の低下も著しい。 また、有害な宇宙放射能が人体に及ぼす影響は計り知れない。 それによって、子孫を遺す能力が極端に低下することもあげられた。 地力に酷似した惑星に降り立ったとしても、繁栄が望めないのである。 この時代、船内の重力を保つ技術は開発されておらず、宇宙への移住計画は不可能かと思われた。
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