プロローグ

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そして、画期的なものが開発される。 冷凍睡眠装置である。 その装置は、人体の体温を下げ仮死状態にすることで、時間の経過を止めてしまうものである。 これによって、重力などによるさまざまな身体能力の低下から身を守り、長距離の航行を可能にするかと思われた。 だが、これも使用する段階には至らなかった。 一、二日程度の冷凍睡眠において異常は認められなかった。 それ以上の期間になると、計器類の故障も含めてきわめて覚醒の確率が低下するという問題が起きた。 また、覚醒時の意識混濁にともない、記憶の混乱や身体能力の低下も認められた。 そのため、期間を設けて交互に覚醒、睡眠をとることによって計器類をメンテナンスする、といった案も現時点では難しいことが判明した。 人類は、地球という惑星以外への移住は不可能だったのである。
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