2人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、各地で暴動や略奪も横行していた。
だが、かつての各国の要人たちに、それらを収める力はとうになく、人類は混乱の坩堝と化していた。
わずかに残った資源や食料、またシェルターを巡っての暴動は途切れることなく続いた。
これらの要因のひとつに、度重なる災厄により恐慌状態だったことがあげられる。
また、従来の『統治』がなかったことも原因だった。
支配から逃れようとしていた人類は、意識下においてそれに身を委ねていたのである。
それらは、支配への反発もさることながら、決められたことに習う安堵であったり、支配されることの慣れもあったのではないだろうか。
かつての要人たちは、行き詰まった。
それらに対抗する力ももはやない。
最善とされて移住計画も頓挫したいま、地球に留まるうえでどうするべきか。
未だ、未知である宇宙への進出と移住。
それらは、夢物語にしか過ぎなかったのである。
これは、そんな時代の物語である。
最初のコメントを投稿しよう!