プロローグ

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そして、各地で暴動や略奪も横行していた。 だが、かつての各国の要人たちに、それらを収める力はとうになく、人類は混乱の坩堝と化していた。 わずかに残った資源や食料、またシェルターを巡っての暴動は途切れることなく続いた。 これらの要因のひとつに、度重なる災厄により恐慌状態だったことがあげられる。 また、従来の『統治』がなかったことも原因だった。 支配から逃れようとしていた人類は、意識下においてそれに身を委ねていたのである。 それらは、支配への反発もさることながら、決められたことに習う安堵であったり、支配されることの慣れもあったのではないだろうか。 かつての要人たちは、行き詰まった。 それらに対抗する力ももはやない。 最善とされて移住計画も頓挫したいま、地球に留まるうえでどうするべきか。 未だ、未知である宇宙への進出と移住。 それらは、夢物語にしか過ぎなかったのである。 これは、そんな時代の物語である。
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