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かつての亡国において、政治、軍事の中枢であった建物は瓦解し、もはや機能していなかった。
そのため、有事のために建造されたシェルターにその拠点を移し、さまざまな研究や開発が行われていた。
この地域は、地震こそ多発したものの津波の影響はなく機能していたのである。
AからDに区画が分けられているこのシェルター内では、各区域において研究施設や開発施設、居住施設などとして機能している。
電力不足により、研究や開発施設への供給を第一としているため、廊下は薄暗い。
電灯は明滅し、通路に引かれた各区域へのラインは目視するのがやっとである。
そのうちの白いラインの先には巨大な鉄扉があり、その先は会議室としても使われていた。
鉄扉を開けると、決して広くはないが設備の整った部屋がある。
壁の至るところには、各地の被害状況やいまは無用の長物と化した世界地図が貼られており、雑然としている。
無数の計器類はデータを吐き出し、無機質な音が室内に響く。
そんななか、ひとりの男が机を叩きつけた。
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