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しかし子供の牙と白龍の怪我のせいで、それほど深い傷にはなっていない。ベルは噛まれたまま、反対の手を伸ばして白龍を撫でる。
「大丈夫、怖くないよ」
ベルは白龍を撫でながら小さく微笑んだ。しばらくそうしていると、白龍はベルの手から口を外す。
グルグル……
白龍は喉を鳴らすと、気持ちよさそうにベルの手に収まった。
ベルはこの白龍を抱えると、急いで家へと駆け戻った。
「おじいちゃん!」
ベルはヴァンじいさんを呼びながら木造の扉を開いた。
「おぉ、おかえり、ベル。どうしたんじゃ、そんなに慌てて……」
ヴァンじいさんがそう言ってベルを振り返る。そして軽く目を見開いた。
「その子は……?」
「森の中で倒れていたの。おじいちゃん、助けてあげて!」
ベルの必死の懇願に、ヴァンじいさんはすぐに白龍へと治癒魔法をかけた。
傷が癒えた白龍はすやすやとベルの腕の中で眠っている。
「次はベル。お前の番じゃ」
「私の怪我はたいしたことないよ?」
「バイキンが入ってからじゃ遅いからな。ほれ、手をお出し」
ヴァンじいさんはベルの白龍から噛まれた傷も治癒魔法で治してくれる。
傷を治してくれている間、ベルは不思議に思っていたことを口にした。
「ねぇ、おじいちゃん」
「なんじゃ?」
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