第2章 白い龍

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「この子、全然喋らなかったの。龍は人の言葉を喋れるんでしょ?」  そう。  通常の龍は人語を解し、そして話すことが出来る。  しかしベルが見つけた白龍は一切言葉を発することはなかった。龍と共に生活するベルだったが、間近で生きた龍を見たのはこれが初めてだったため、ずっと疑問に思っていたのだ。 「ベルや。人の言葉を話せる龍は、緑色の龍だけなのじゃよ」 「え?」  ヴァンじいさんの言葉にベルは驚いている。 「じゃあ、この子は喋らないの?」 「白い龍はな、喋られないのじゃ」 「私の言葉も、分からないの?」  不安そうなベルの問いかけに、ヴァンじいさんは安心させるように微笑むと、 「それは大丈夫じゃ。龍はとても賢い生き物だからな」  ヴァンじいさんの言葉を受けたベルはほっとする。胸の中で健やかな寝息を立てる白龍を撫でながら、 「この子、どうしてあんな大怪我をしたのかなぁ?」 「大方、心ない人間に襲われたのだろう」  ドラッヘン村の名産となる龍のウロコは、先程のヴァンじいさんの話にも出てきた緑色の龍のウロコのみになる。  緑色の龍のウロコは日の光を受けると虹色に美しく輝き出すのだ。  しかし白龍のウロコは違う。
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