第3章 チビとベル

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 ヴァンじいさんの言葉にベルは自分がずっと無意識に火を灯し続けていたことに気付いた。 「あ、うん」  ベルの返事を聞いたヴァンじいさんは何事かを考えるそぶりを見せると、 「ベルや。ちょっと指輪を外してからやってみてはどうじゃ?」 「え?」  ヴァンじいさんの言葉にベルは目を白黒させてから、指先の火を消すと指輪を片方外した。そしてもう一度、指輪を付けていた時と同じ要領で指先に火を灯す。  パチン!  ぼっ!  指を鳴らす。  すると一瞬だけではあったが指先に火が灯った。 「おじいちゃん、見た? 今、私できたよ!」 「うん、うん」  ベルがヴァンじいさんを振り返り言うと、ヴァンじいさんも嬉しそうに頷いていた。 「これからは、片方の指輪なしで、指先に火を灯す練習を続けると良い」  ヴァンじいさんの優しい笑顔に、ベルも嬉しくなった。着実に、一歩ずつ、ベルは自分の成長を実感できたのだった。  それからの生活はベルにとって満ち足りたものになっていた。  魔導院から帰るとベルはチビにミルクを与え、水の交換をする。その間、ヴァンじいさんはチビが食べる動物の肉を獲りに行っている。
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