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ドラッヘン魔導院。
そこは六歳から十三歳までの子供たちが魔法を学ぶために通っている学校だ。この魔導院では八歳までの子供たち全員に、不安定な魔力を安定させるための指輪を配っていた。
そんなドラッヘン魔導院に通う九歳の少女がいた。名をベルと言う。
ベルが魔導院への通学路を歩いている時だった。
「やい! 落ちこぼれのベル!」
クラスでいちばんの魔力を持つ同級生の少年、ヴィンダーが声をかけてくる。
「ちょっと、ヴィンダー! 止めなさいよ!」
ヴィンダーとベルの間に入ってきたのは、ベルの親友のシャルロットだった。
「出たよ、仕切り屋シャルロット」
ヴィンダーは露骨に嫌な表情をする。
「ちょっとベル! ベルも嫌なら嫌ってはっきり言わないとダメだよ!」
「でも……、私が落ちこぼれなのは、本当だから……」
ベルは弱気な声を漏らす。
「ベルは落ちこぼれじゃないよ!」
「落ちこぼれだろ? こいつだけだぜ? まだ指輪を付けてるヤツ」
シャルロットの言葉にヴィンダーがベルの両手を指さして答える。
そうなのだ。ベルはまだ魔力が安定しないため、九歳になっても指輪をしていた。それがヴィンダーの言う『落ちこぼれ』に繋がっていたのだ。
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