第1章 落ちこぼれの魔法使い

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 ベル自身、そのことを気にしていた。九歳になっても指輪をしているのはもうベルしかいない。 「ま、今日もせいぜい、指輪の力に頼って頑張るんだな!」  ヴィンダーはそう言い捨てると、魔導院へ向けて駆けていった。残されたベルとシャルロットは、ゆっくりと歩き出す。 「ベル。あまりヴィンダーの言うことを気にする必要はないよ」 「うん」 「ヴィンダー、自分がいちばん魔法が使えるからって、いい気になっているだけなのよ」  シャルロットは鼻息を荒くして言う。そんなシャルロットの気遣いが、ベルには嬉しく感じるのだった。  魔導院に到着したベルは鞄の中から教科書やノートを取り出す。  今日も確か、指先に火を灯すレッスンから始まる。初歩的な魔法ではあったが、この魔導院では基本を疎かにしない、がモットーとなっていたため、毎日欠かさずに基礎レッスンから始まる。  ベルはこの基礎レッスンさえも指輪の力なしでは満足に行えなかった。そのため、ヴィンダーには毎回馬鹿にされている。  一日のレッスンが終わると、ベルは一目散に帰宅していた。それは自宅で魔法の自主練習を行うためだ。
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