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魔導院ではヴィンダーのようにからかってくる生徒も多く、集中して練習が行えない。それに、家に帰ると祖父のヴァンじいさんが迎えてくれるのだ。このヴァンじいさんはベルの父方の祖父に当たる。旅商人をしている両親の代わりにベルを育ててくれているのだ。ヴァンじいさんはかなり強い魔力を持っており、風魔法が特に得意だった。ベルにとってヴァンじいさんは自慢であり、そして憧れの魔法使いだった。
ベルはヴァンじいさんに教えを請いながら、日夜自主練習を行っている。
この日もベルは指輪を外してから指先に火を灯す練習を行っていた。
「ベルや。そろそろおやつにしないかい?」
「ん、もう少し頑張る」
ヴァンじいさんの言葉にベルは返すと、んーっと魔力を込めながら指先を凝視する。しかし指輪がないベルの指先は一向に火が灯る気配がない。
「ダメ、かなぁ~?」
「ベル。力みすぎじゃよ。空間の魔力を意識するんじゃ」
「空間の魔力?」
ヴァンじいさんの言葉にベルはじっと目を凝らし、耳を澄ませる。それでもベルには、ヴァンじいさんの言う『空間の魔力』が何を指しているのか分からない。
「ベル。あまり根を詰めても成果は上がらないものじゃよ? さぁ、クルミの焼き菓子をお食べ」
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