第2章 白い龍

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 さて、ベルの住むこのドラッヘン村は、龍と深い関係を持っていた。ドラッヘン村の空にはたくさんの龍が飛んでおり、村人たちは龍との共存をはかっている。  龍は三ヶ月に一度脱皮を行う。  ドラッヘン村の村人たちは森へと出て、この脱皮をした龍のウロコを採取していた。  日の光を浴びて虹色に輝く龍のウロコは、このドラッヘン村の名産となっている。この上質な龍のウロコは、商人たちの手により売られ、加工屋にて主に防具に加工されている。  その日もベルは魔導院から真っ直ぐに帰ると、指輪をはめて指先に火を灯し続ける練習を行っていた。当初よりも大分長く火を灯すことが出来るようになっている。 「ベルや。森に薬草を採りに行ってはくれぬかね?」  ベルが指先に集中していると、ヴァンじいさんが声をかけてきた。ベルは指先への集中をやめると、 「分かった! 行ってくるね!」  元気に挨拶をして森へと出かけるのだった。  薬草はこの村に住む者なら誰でも見分けがつく。ベルもドラッヘン村の住人だ。薬草なら簡単に見つけることができた。  今回は魔法の修行を兼ねて、指先に火を灯しながら薬草摘みを行う。火の調子はとても良く、なかなか消える気配はない。
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