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ベルは嬉しくなってどんどんと森の奥へ奥へと進み、薬草を籠いっぱいに集めていく。
どれだけ森の中を進んだだろう。少し開けた場所に出たベルは切り株の上に腰を落とし、指先の火を見つめながら休憩をしていた。
すると。
ガサ……!
ベルの居る開けた場所から少し離れたところから物音が響いた。
「え? 何?」
ベルは恐る恐る音のした方へと進んでいく。
鬱蒼と茂る森の中に、真っ白で小さな龍が血を流して倒れていた。
「大変!」
ベルは指先の火を消すと、その白龍へと近寄る。しかし白龍は警戒し、喉の奥をグルグルと鳴らしていた。
「大丈夫だよ!」
ベルは白龍へと駆け寄ろうとする。しかし白龍は鎌首を上げて、ベルを威嚇した。
(こんな時、おじいちゃんみたいに治癒魔法が使えたら……)
ベルは自分の無力さを痛感し、悔やんだ。
このまま放っておいては、この白龍の怪我だと死んでしまうかもしれない。ベルはなんとかして助けたいと思った。
「大丈夫……、大丈夫……」
ベルは白龍へと呟きかける。白龍は動くのもようやくのようだ。
そんな白龍へと、ベルは小さな手を伸ばした。
バグっ!
噛まれた。
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