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「由巳は入ったばかりだろう?指導を終えた後に恋人同士になりましたって言っても誰も信用しないよ。指導担当の時から手を出してたって言われる。否定してもさ、それは俺の指導担当としての不適切な行動だろ?」 「う、ん……。えっ?なんか罰、みたいな?」 本気で心配した。 「罰なんてないけど、今後、二度と指導担当なんて来ない。それってさ、上に立つ人間として失格になる。昇進が難しくなるんだ。それは由巳だって嬉しくないだろ?」 コクンと頷いた。 「それに恋人同士を同じ部署には置かない。付き合っていると分かればどちらかが異動になる。この場合、まだ慣れてなくて実績のない由巳が異動になると思う。やっと研修終わって指導終わって仕事覚えてこれからって時なのに、他の課に異動してまた一から仕事を覚えるって大変だと思うんだ。由巳が仕事で困ってもアドバイスもしてやれないし、フォローも出来ない。同じ部署なら一緒に仕事出来る。ずっとは無理でも朝は顔も見れるしさ。一年位は秘密にした方がいいと思うんだけど、どう思う?」 どう思う、と今までの話を聞かされた後で聞かれると、それは秘密の方がいいんだと由巳も思った。 「うん、そうだね。別に言い触らすつもりはなかったし、こっちに親しい友人もいないし、大丈夫、誰にも言わない。」 「良い子だ。それにさ、10も違うだろ?由巳にベタ甘な所知られたら仕事し難い。怒れなくなっちゃうからな。」 「ベタ甘なの?」 「分かんない?」 「うん。」 「すげー甘いと思うよ。由巳、可愛くて仕方ないからね。職場で顔に出すなよ?今みたいに須賀さん好き好きオーラ。」 「出てないもん。」 「出てたって。」 くすくす笑い合って、何年振りにこんなに幸せだろうと、その幸せを由巳は噛み締めていた。
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