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「30代位の拓巳が、少し歳上かな?綺麗な優しそうな女の人と楽しそうに笑ってた。本当に幸せいっぱいって顔でさ、見てるだけで分かるっていうの?」
夢の話を本当の事の様に話す由巳をポカーンとした顔で拓巳は見ていた。
「何よ?その顔。」
「いや…だってさ、30位で?歳上の人?俺がって思うでしょ?仮にそれが本当に俺だとしても、仕事仲間とかじゃないの。」
女の人苦手だし、と付け足して拓巳は笑っていた。
「あ〜信じてなーい。」
プクッと由巳は頬を膨らませる。
「笑ってただけだろ?友達でも笑うって。良かったじゃん?良い夢で。」
「絶対、あんたの好きな人だって!保証する。」
「母さんに夢で保証されてもな。」
呆れた様に笑っていた。
「良い夢だったよ。今の私と変わらない位の拓巳を見られて幸せだったし、拓巳が幸せそうだったからさ。少し位歳上でも全然いいよ。拓巳が自分で選んで、誰にも遠慮する事なく好きになれて大事にしたい人なら、お母さん大賛成。綺麗な人だったよ?ちょっと控えめ美人って感じ。地味かな…強いていうなら。」
「そんな情報で見つけられたら天才だな。ていうか、意味のない情報だな。」
「つまんないわね、男の子なんて。まぁ、でも聞いておきなさいよ。いつかお母さんに感謝する日が来るかもしれない。あんたはさ、買い物袋を持ってて彼女と手を繋いでた。拓巳さん、とか呼ばれて鼻の下が伸びてた。ちょっと強気な感じの目で、それがあんたの名前を呼ぶ瞬間、凄くいい笑顔で優しい目になるの。お母さん、なんか安心したなぁ。幸せで良かった。拓巳の相手、見れて嬉しかった。」
「………まだ分かんないだろ?本当に意味不明な夢だな。」
拓巳に笑われて、由巳もそうだねと笑った。
由巳の意識が失くなったのはそれから2日後だった。
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