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ズルズルと須賀との付き合いは続いていた。 季節は春を超えて夏になった。 須賀は変わらずに週に一度は必ず、会社帰りに由巳のアパートに来ていた。 夕食を食べて寛いで…愛し合った。 仕事が少し余裕のある時は週に二度、時々、土曜日に12時過ぎまでいる。 いつもは10時には帰る。 身体を合わせると奥様の顔を思い出す。 時々、由巳はやっぱり別れようと、部屋に来る須賀に言う。 「由巳!上手くいってるだろ?それとも他に好きな人が出来たのか?それなら俺は……何も言う権利はないけど…。」 そんな時、須賀は悲しい顔でそんな風に言うのだ。 「違う。奥様に…申し訳ない。それに……やっぱり不倫なんて良い事じゃない。」 下を向いて言うといつも抱きしめられる。 「人を好きになる事がいい事じゃない?今は不倫かもしれない、だけどそのうちただの普通の恋人同士になる。それにここにいる間の俺は由巳だけの恋人だよ?違う?」 顔を覗かれて優しい声で言われる。 そして、また静かに押し倒される。 絆される。 優しく甘い暖かさに…自分だけの手に、縋ってしまう。 もしかしたら本当に…離婚してくれるかも、5年より早く奥様が別れると言うかもしれない、そんな馬鹿な事を考えてしまっていた。
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