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「そうですが、私も人です。私にも娘がいます。やっと就職して頑張っているのに娘がそんな男に捕まったら殴りに行きますよ。今のあなたは痛々しい。心も体も…確かに間違いを犯したでしょう。ですがお相手が余りにも……。親であれば許せない事です。須賀由紀さんにはきちんと説明して納得の上、同意して頂きます。ですが慰謝料はきちんと頂きますよ?」 「はい。お支払いします。奥様にも謝罪させて頂きます。」 「では事実確認で、何点かお聞きします。須賀健斗さんから金品を受け取っていましたか?」 「金品……誕生日にネックレスを。でもそれは昨日、須賀さんに投げ付けてしまいました。」 「それだけですか?温泉に行っていますね?」 「はい。それは全て須賀さんが…。」 「では生活費などを受け取った事は?須賀健斗は週に一度は藤代さんの部屋で食事をされていますよね?」 自分の生活が見透かされている様で由巳は少し唾を飲み込んだ。 「確かに、食事を作って一緒に食べてました。でも一度もお金を頂いた事はありません。買い物も人目があるから、須賀さんと一緒に行った事はありません。払ってもらった事も後から頂いた事も一度もありません。」 「分かりました。」 メモを取り、大倉は大きくため息を吐いた。 「これではあなたは一人暮らしよりキツイ生活ではなかったですか?」 「週に一度の事ですから…。恋人ってそういうものだと…思っていましたし。」 困った顔で由巳は答えていた。 「以上で…藤代さんから何かありますか?普通は弁護士を立てて、そちらも要望を言うものですが…。」 と言われて、考えて来た事を口にしてみようと思った。
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