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翌日、嘱託医に渡されていた紹介状を思い出し、大倉に言われた総合病院で診察を受けた。 叩かれたのは最初の頬。 そして突き飛ばされて倒れた時に打った腰、倒れてからは半分馬乗り状態で上半身を中心に叩かれていて、頭や顔を庇っていたので手と肩、背中、平手は最初だけで後は拳を握っていたから、上半身は痣だらけだった。 頭がクラッとする程、凄い力で引っ張られた髪の毛。 最後に渾身の力で打ち付けられた鞄。 留め金が当たった顳顬は切れて血が出ていたらしい。 脳震盪を起こして倒れたのだった。 その時の詳細な診察内容や処置は嘱託医の紹介状にきちんと記載されていた。診断書を書いてもらい、昼過ぎにアパートに帰った。 (これからどうやって生きていこうか。) 冷静になるとそんな事を考えた。 仕事を辞めた以上、このアパートにいる必要はないし、家賃が払えなくなる可能性がある。 それでも話し合いが全て終わらなければ、引越しするにしても遠くにはいけない。 (先ずは全て終わってから…でもそれまでお金が持つか分からない、慰謝料も払わなければいけないのだし…。) どう考えてもお金がない。 フラッと立ち上がると、駅前の商店街を歩いた。 急募、アルバイト募集、お店に貼られた文字を見ては雇って欲しいと頼み込んだ。 頭に包帯を巻いて、フラフラの痩せ細った履歴書も持ってない飛び込みの女性に、いいよと言う店主はいなかった。 商店街を隅から順に歩いて三軒に断られ、もう貼ってないとフラフラしていたらいい匂いがして来た。 (そう言えば…お昼食べてなかった。) お昼どころか、朝も昨夜も碌に食べてもいない事を、お腹の虫が思い出させてくれた。 商店街の端にある店に入り、フラフラと椅子に座った。 お腹は空いているが、喉を通る気がしなかった。 「お味噌汁だけでもいいですか?」 力なく聞く。 「いいよ。いいけど……あんた、食べた方がいいよ。顔色悪いし何があったか知らないけど、食べなきゃ元気でないよ?あんた〜?」 「んーなんだ?」 厨房から旦那さんなのかなぁと思う人が顔を出した。 「この子になんか食べ易い、消化に良いもの作ってやってよ。顔色悪いし食欲なさそうだから。」 お店のおばさんの言葉に、由巳は焦って店を出ようとした。 手を掴まれて強制的に奥の部屋に連れて行かれた。 「座んなさい!ここで食べなさい。周りのお客さん、気にしなくて良いから。ゆっくりして?ここね、私達の休憩所だから。汚いとこだけどちゃんと掃除はしてるよ。」 ガハハと豪快に笑うおばさんの笑顔を見て、頭を下げてお礼を言った。 なんか……雰囲気に押し負けた感じだった。
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