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延長された指導担当も終わりの日が来た。 最後の日の午後は事務所で書類作成だった。 早く終わりたくなくてズルズルと無意識にやっていると、須賀に声を掛けられた。 「おい、大丈夫か?難しい書類じゃないだろ?もう18時過ぎたぞ。藤代が終わらないと指導担当の俺も帰れないんだけどな?」 「す、すみません。」 最後の最後に迷惑を掛けたとショボンとしながらペースを上げた。 「それ終わったら飯、行こう。嫌じゃなければ。指導終わりだし二人でお疲れ様会、奢る。」 クシャッとした笑顔で言われて、ポーッと顔を見た。 「なんだ、嫌か?彼氏か?」 「いえ!光栄です!行きます。奢りですよね。彼氏はいません!」 嬉しくてスピードを上げる。 「奢りに食いついたな?」 くすくす笑いながら須賀はやれば出来るじゃないか、と書類を見せると笑顔で頭を撫でてくれた。 お酒は飲めない由巳を気遣い、少しお洒落なお店に連れて行ってくれた。 二人で、二人だけのお疲れ様会。 高卒の18歳の由巳には舞い上がる事ばかりだった。
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